1984年10月6日土曜日、雨が降らないだけましな曇り空。午前中は昨日素通りしたオンネトーに行ったので、結果として阿寒横断道路を往復することになりましたが、快適な山道をバイクで走る分には寒くても苦ではありません。午後から裏摩周展望台へ。

道路案内標識を頼りに養老牛方面を目指し、斜里または清里峠の文字を見つけたらそちらに向かいます。清里峠から分岐してダートを約2.5[km]走ると駐車スペースがあり、そこが裏摩周展望台でした。しかし、この先にも道は続いていました。道を進もうか迷いましたが……

  • 裏摩周展望台 *バス1日2便
  • ……ここから右側に約20分歩くと東屋風の小屋があり、多少の飲食物を販売している。その前の広場から摩周湖唯一の湖岸へ降りる道があります。……
  • - 「とらべるまんの北海道」摩周湖のページ : 1982年6月新訂版発行

裏摩周展望台の先には売店があり、そこから湖岸に下りることができたようです。手元の1988年4月改定6版(1983年4月初版)発行「北海道宿泊&レジャーガイド」を見ると、湖岸へ下りる道は裏摩周第2展望台にあります。そして、現在の裏摩周展望台は、裏摩周第1展望台と呼ばれていたらしい。

同じく1986年7月発行「リュエル別冊北海道」によると、裏摩周第2展望台と呼ばれていた広場にあった売店は、裏摩周展望台の場所に移設されたとのこと。裏摩周第2展望台と湖岸間の所要時間は、下り10分上り30分と書いてあります。

湖岸へ下りる道の情報は摩周湖 Y.H. で得たと思うのですが、聞いただけなのでその詳細はわからなかったですし、展望台がある外輪山の尾根からあんなカルデラ壁を見たら湖岸に下りようという気にはならなかったです。裏摩周第2展望台へ行くのは諦めて、裏摩周展望台から写真を撮って Y.H. へ戻ったのでした。

1993年9月に裏摩周展望台を訪れた時は、裏摩周第2展望台へ通じる道に鎖が張られ、車止めがしてありました。現在はゲートが設置され、常時閉鎖のよう。地理院地図を見ると、道道1115号摩周湖斜里線から裏摩周第2展望台まで徒歩道があります。道道からの分岐点は草木で覆われ、生きている道ではなさそうです。

ところで、摩周湖の展望台は何か所あるのか?「表摩周」に摩周第1展望台と第3展望台。第1と第3の間にあって、昭和初期に整備利用しようと計画されたものの頓挫した幻の第2展望台。そして、「裏摩周」に裏摩周第1展望台と第2展望台。なので、5か所ですね。

裏摩周展望台が霧の影響を受けにくいのは本当ですか?

摩周湖を訪れた回数は3回。眺めた場所は、1984年10月は第1展望台からと裏摩周展望台から、1987年8月は第3展望台から、1993年9月は裏摩周展望台から。青空は一度もなく曇っていましたが、霧は出ておらず、いずれも湖面を見ることができました。

裏摩周展望台の展望デッキから - 1993年
左にカムイヌプリ、そしてカルデラ壁にぐるっと囲まれた摩周湖の眺望は木々に邪魔されない。

9年後、斜里側から清里峠越え。峠から分岐する裏摩周展望台までの道路は舗装され、展望デッキの設置が観光地化を感じさせます。眺望を邪魔していた木々が無くなって、左にカムイヌプリ、そしてカルデラ壁にぐるっと囲まれた摩周湖の眺めは、弟子屈町にある摩周第1展望台からの眺めに遜色ないと思います。1993年9月13日撮影。

霧の発生は、秋や春よりも夏(7月と8月)が多いことは確かです。「裏摩周展望台は、弟子屈町にある第1、第3展望台よりも標高が低いため霧の発生が少ない」と多くのサイトに書かれていますが、本当ですか。

  • 裏摩周展望台
  • ……弟子屈町側の展望台よりも標高が低いため、霧の発生が少なく神秘的な湖面を望めます。(標高差~第1展望台683m 第3展望台701m 裏摩周展望台585m)……
  • - きよさと観光協会

標高差がどことの差なのか不明ですが、上記の各値は展望台から最も近い三角点の標高と同じですね。地理院地図から各展望台の標高を読み取ると、第1展望台が約552[m] < 裏摩周展望台が約584[m] < 第3展望台が約670[m]です。裏摩周展望台の標高が弟子屈町側の展望台より低い?……低くないです。

裏摩周展望台の標高とほとんど違わない摩周第1展望台から、摩周湖を長期間(1986年~2002年のべ3,510日)に渡って観測したデータがあります。摩周第1展望台から湖面が見えた割合のグラフによると、7月と8月に終日見えた日の割合は40[%]を少し超えるくらい。時々見えた日の割合は約40[%]、全く見えなかった日の割合が約20[%]。

4月と5月は、終日見えた日が約60[%]、時々見えた日が約30[%]、全く見えなかった日は約10[%]。10月と11月は、終日見えた日が約75[%]、時々見えた日が約20[%]、全く見えなかった日は約5[%]。

何時訪れても摩周第1展望台から湖面が見えた日の割合は、4月と5月で約60[%]、7月と8月で約40[%]、10月と11月で約75[%]となっているので、やはり夏場は湖面に霧が流れてきたり展望台からの視界が霧に遮られたりして、霧の影響が大きいと思われます。

では、裏摩周展望台から湖面が見えた日の割合は、どの位になるでしょうか。終日見える日の割合は、摩周第1展望台と同じ程度だろうと思われます。霧が出たり晴れたりして時々見える日の割合は、推測のしようがないですね。

夏場は霧のため湖面が見えない時が増えるのは確かで、霧が出たり消えたりする日も多いとはいえ、霧の無い摩周湖全景を見たいものです。現在では摩周第1展望台からのライブカメラで摩周湖の様子を確認できますから、状況によっては裏摩周展望台に行く選択も有りかも。

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霧は無いが寒かった「摩周湖」

1984年10月5日、午前中に然別湖畔から歩いて東雲湖へ行ったのですが、いつ雪が降って来てもおかしくないくらいの寒さ。夕方前にはそこまで走れそうな摩周湖近くのユースホステルに予約を入れ、観光地には目もくれず弟子屈町まで一気走り。暗くなるまでの時間を使って、摩周湖を見に行ったのでした。

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