東雲湖トレッキングを終え、平野部に下りて変形交差点を左に曲がると北海道道35号本別新得線、現在の国道274号に入ります。この辺りは、東ヌプカウシヌプリと西ヌプカウシヌプリが夫婦山と言われるように並んで見えるビューポイントになっているようですが、一度も目にしたことがないです。
直線道路の両側に圃場と防風林が次々に現れるので視線は自然と前方に固定化し、丘を越える風な高低差があるような上り坂が見えてきたところで、わざわざ停まって写真を撮ったのでした。苫小牧と道東の間のメインルートとしてこの道を走った5、6回ほどのうち、停まったのはこの時だけです。
この写真を撮った前日は、フェリーで苫小牧に着き、日高国道(国道237号)と樹海ロード(国道274号)で日高山脈を越えた後、旧道道735号清水鹿追線、旧道道35号本別新得線、旧道道726号鹿追糠平線を使って清水町から美蔓パノラマパークを経由して宿泊地の然別湖北岸野営場まで。
1987年8月の走行ルートは、宿泊地が帯広市だった1984年10月の走行ルートとほぼ同じです。1984年の時も1987年の時も翌日に東雲湖に行っており、この直線道路が国道241号(足寄国道、阿寒横断道路)を経由した道東へのアプローチになっていました。
道の先は本当に「丘」なのか?問題
東雲湖がある山地から平野部に下りてくる途中、西ヌプカウシヌプリの麓にある扇ヶ原展望台から撮った写真(1991年)では、直線道路がある南方向に麓から圃場のところまで丘陵が続いているように見えます。
然別湖南側の西ヌプカウシヌプリや東ヌプカウシヌプリから扇ヶ原、陸上自衛隊然別演習場、そして直線道路辺りまでの範囲の地質は、20万分の1日本シームレス地質図を見ると「新生代 第四紀 後期更新世」の地質時代(12万6000年前から1万1700年前までの期間)に形成された「火成岩」です。
この範囲の「火成岩」のもとになったマグマは、20万分の1日本火山図を参照すると、然別火山群のうち西ヌプカウシヌプリ、東ヌプカウシヌプリ、天望山、白雲山などから構成される新期の溶岩ドーム群の火山活動によるものと思われます。
溶岩ドームの火山活動過程において山体崩壊が起こり、岩屑なだれや火砕流、土石流が発生してその南側斜面に火山噴出物が広く堆積したと考えられます。この山体崩壊堆積物は直線道路を部分的に覆っていて、直線道路の1本北側の道路のストリートビューを見ると丘地形になっていることがわかります。