上の写真は、現道の道道85号にある扇ヶ原展望台から撮ったのではなく、記憶に間違いが無ければ現展望台から南西に約400[m]、標高で約90[m]低いところ、旧道の道道726号にあった扇が原展望台からだと思います。開陽台から見た根釧台地のようにも見えます。

現展望台から撮った下の写真は旧展望台より視点が高いので、十勝平野がより広く感じられますね。日高山脈はどうなんだというと、1984年の時も1991年の時も空の色と一体化したような薄い藍色というか平面的な感じにしか見えなかったです。

扇ヶ原展望台から西ヌプカウシヌプリを左回りに走っていくと、西ヌプカウシヌプリと東ヌプカウシヌプリの間の少し開けた感じがするところに出ます。ピークの白樺峠を越え、駒止湖のあたりを通過している時に雪が降ってきました。雲は出ていますが陽射しもあり、一瞬です。

東雲湖に行こうか迷ったものの、寒いのはバイクに乗っている時だけで歩くのは問題ありません。鉈なんか持ってきてないし、熊との遭遇が最も不安でしたが、秋の東雲湖は行く価値ありです。

川と火山によって作られた扇状地「扇ヶ原」

扇ヶ原展望台からの眺望 - 1991年
1991年8月、扇ヶ原展望台から十勝平野を望む。扇ヶ原は木々の緑で覆われている。その先の十勝平野、緑の濃いところは防風林だろう。

扇ヶ原に陸上自衛隊然別演習場の施設らしきものが確認できる。現道にある扇ヶ原展望台が旧道にあった展望台より標高で約90[m]高く、その先の十勝平野は奥行きがあるように見え、広さがより感じられる。写真では圃場と防風林が霞がかかったように見えているが、カメラ(オリンパス XA-1)を扱う技術が低いから。基本シャッター押すだけだし。1991年8月撮影。

約70万年前、日高山脈南部や十勝北部にある山地が激しく上昇し、露出した岩盤は風化して礫(岩のかけら、石)となり、山脈・山地を下る水は川となって礫を下流に流し出しました。山脈・山地の上昇は長い間続き、大量の礫が供給されました。

山中から平地へと流れてきた川の流速は遅くなり、大きな礫から流れなくなって溜まっていきます。川は流れを変えながら礫を広範囲に堆積させ、かつて湿原だったところが礫によって埋め立てられ、陸になっていきました。この礫の扇状地が十勝平野の原形です。(参照:時をこえて十勝の川を旅しよう! - 国土交通省北海道開発局 帯広開発建設部)

美蔓パノラマパークがある美蔓台地や鹿追町士幌町間直線道路が通っている瓜幕台地には、十勝平野の原形となる扇状地礫層が河川によって削られることなく現在まで残っているとのこと。実際の土地は、この礫層の上に(恵庭火山や支笏火山などの)降下火砕堆積物が覆って平坦な面ができています。

約30万年前以降の数万年前から1万年前くらいの火山活動で、「扇ヶ原」の扇の要辺りに新期然別火山群が現れました。いくつもの溶岩ドームが生まれ、成長した火山がここを流れる川を堰き止めたために然別湖ができ、川は西ヌプカウシヌプリの北側から西側へ回り込むように流れが変わりました。

新期然別火山群の噴火活動では、溶岩ドームが崩壊するなどして、溶岩の破片や火山灰などの噴出物と火山ガスや空気などの気体が混じり合った火砕流が扇状地に沿って流れ下ったと考えられます。上の写真で、陸上自衛隊然別演習場の盛り上がっているところが流れてきた火山噴出物かもしれません。

「扇ヶ原」は、新期然別火山群の火山活動以前の川によって作られた扇状地、この上を火山の噴火活動の火砕流による堆積物が扇状地のように覆った珍しい場所、ということのようです。

関連する他の二輪旅写真

美蔓パノラマパークからは十勝平野の段丘と遠くに十勝のやまなみが見えるのですが、曇り空なのか雨なのか、それとも明暗差が大きくて白飛びしたのか真っ白で、十勝のやまなみは全く見えません。

十勝の田園風景「美蔓パノラマパーク」

道入りのほとんどはフェリーで苫小牧だったので、道東へ行く場合、日高国道(国道237号)と樹海ロード(国道274号)で日高山脈を越えた後、国道38号ではなく道道735号(現在の国道274号)を走ることが多かったです。その道道の途中にあった駐車スペースが「美蔓パノラマパーク」。ここでよく休憩しました。

東雲湖は周囲約800[m]の小さな湖、別名「東小沼」。雲はあるが青空が見える。青色の湖面の一部が茶色に見えるのは、湖内に植物が生えているから。対岸はクマザサの丘で草原のように見える。木々の葉は茶色になるか落ちている。緑の木はマツだろう。

北海道三大秘湖「東雲湖」

1984年10月5日、然別湖湖畔の道を歩いて東雲湖に行きました。途中で然別湖を走る観光遊覧船が見えましたが、船着き場に降りた人はいなかったようで東雲湖を独り占め。後になって船着き場は撤去され、東雲湖へのアプローチは徒歩か、カヌーなどの人力の船+徒歩の二択。秘湖に相応しい「東小沼」でした。

東雲湖は周囲約800[m]の小さな湖、別名「東小沼」。空一面の雲が太陽光を遮っているせいか、湖面は青く見えず、周囲の広葉樹、針葉樹、クマザサなどはくすんだ緑色。その色が湖面に反射している。

「東雲湖」へ3年後の夏再び

1987年8月11日早朝、2回目の東雲湖へ。1984年10月時の革ツナギにバイク用ブーツという重装備から一転し、ジーンズにTシャツとジャケット、足元は運動靴というツーリング中とは思えない普段着だったため、所要時間は往復約2時間。今回も誰にも会うこと無く、東雲湖を独り占め。ガレ場でシマリスと遊んできました。