1984年当時、道道726号(現在は85号に変更)を然別湖畔温泉から湖岸沿いにしばらく行くと車数台が駐車可能なスペースがあって、そこが白雲山と天望山の登山道入口でした。東雲湖へは山頂を経由して、あるいは山を登らずに然別湖湖畔の道を行くこともできます。

現在は、然別湖畔温泉からすぐの湖岸沿いの道をショートカットする湖畔トンネルを抜け、そこから約550[m]先で旧道に入り、然別湖から流れ出るトウマベツ川(然別川)に掛かる小さな白雲橋を渡るとすぐ左が登山道入口です。「湖底線路」のところですね。

東雲湖へ向かう途中、然別湖の手前、駒止湖(西小沼)あたりで一瞬雪が降ってきたほどの寒さ。先ほど寄った扇ヶ原展望台から十勝平野を眺め、太陽の光が穏やかで「秋だなあ」なんて思っていたのに、標高800[m]の山の上は季節が早く進んでいると感じます。

日勝峠越えで寒い思いをしたため、帯広に着いた昨日買ったタイツとトレーナーを革ツナギの下に着こみ、首にマフラーを巻き、手は軍手の上にグローブをして、さらに革ジャンを着ても、バイクを走らせると寒いものは寒い。

登山道入口の駐車スペースにバイクを停め、革ツナギにバイク用ブーツというトレッキングには向かない服装で東雲湖に行ったのですが、湖畔まで道路が通っていないため仕方がありません。夏にも今日の恰好で約1時間くらい積丹の神威岬まで歩いたので、問題無いでしょう。

然別湖湖畔の道

秋色の然別湖- 1984年
登山道入口から湖畔の道を10分ほど歩いたところから然別湖畔温泉の方を見ると、湖面は風で波が立ち、湖畔の紅葉は既に終わっているような茶色で、山々は白くなっている。

登山道入口から湖畔の道を10分ほど歩いたところから然別湖畔温泉の方を見る。湖畔は、紅葉が既に終わっているような茶色に包まれ、遠くの山々の頂付近に見える白色は、冬の訪れが近いことを感じさせる。湖面は風で波が立ち、寒い感じが伝わって来る。1984年10月5日撮影。

湖畔の道の状態は、道幅が狭い以外は普通に森の中の遊歩道という感じで、東雲湖までの所要時間は登山道案内板の表示によると1時間45分。途中で観光遊覧船が然別湖面を走るのが見え、東雲湖まであと少し(約700[m])のところに船着き場があって、「えぇーっ」と思いましたよ。

当時は然別湖畔温泉から観光遊覧船に乗り、この船着き場で降りて、東雲湖まで徒歩約20分で行くことができたのですね。この時は、船着き場と東雲湖の往復で誰とも会わず、エゾシカが「何よ、あれ」というような感じでじっとこちらを見ていただけでした。

観光遊覧船が船着き場を利用しなくなった理由は、東雲湖を訪れる観光客の数を減らし、湖西側斜面のガレ場(岩塊斜面:多くの岩が斜面を流れているかのようにゴロゴロしている独特な地形)に生息するナキウサギを保護するためらしい。

ナキウサギの「お隣さん」

東雲湖の西側ガレ場に現れたシマリス - 1984年
ミズゴケ類とカラフトイソツツジに覆われた岩と岩の隙間(風穴)の前に現れたシマリス。

ナキウサギを見たくて、鳴き声が聞こえないかと耳を済まし、どこかに気配が無いかと目を皿のようにすること30分。ミズゴケ類とカラフトイソツツジ?に覆われた岩と岩の隙間(風穴)の前にナキウサギの「お隣さん」、シマリスが現れただけでした。警戒心が無く、目の前に人間がいるのに逃げもしない。1984年10月5日撮影。

ナキウサギは、日中に数回、岩と岩の隙間の穴から地上に出て採食するらしく、1、2時間か2、3時間、はたまた3、4時間静かに待てば姿を見せることがあるかもしれない。お腹が減ったら出てくるようです。

同じガレ場に生息している「お隣さん」のシマリスがチョロチョロしていると、ナキウサギは姿を隠して出てこないという。ナキウサギの個体数が減っていた可能性も考えられますが、動物の鳴き声らしき音も聞こえなかったですし、そう簡単には見ることができない動物がナキウサギ、ということですね。

関連する他の二輪旅写真

1984年10月、扇ヶ原を見下ろす展望台から十勝平野を望む。太陽の光がいかにも秋らしく、澄んだ空気、青い空と雲。扇ヶ原の先に続く十勝平野は、ただただ広い。

十勝平野を一望「扇ヶ原展望台」

1984年10月5日、西ヌプカウシヌプリと東ヌプカウシヌプリの南山麓に広がる「扇ヶ原」に通された鹿追糠平線を走る。標高を上げても視界は両脇の木々に邪魔され、眺めが良い場所は扇ヶ原展望台くらい。それは川と火山によって作られた扇状地の扇の要に近いところにあって、十勝平野や日高山脈を一望する絶景となるかは天気次第。

東雲湖は周囲約800[m]の小さな湖、別名「東小沼」。空一面の雲が太陽光を遮っているせいか、湖面は青く見えず、周囲の広葉樹、針葉樹、クマザサなどはくすんだ緑色。その色が湖面に反射している。

「東雲湖」へ3年後の夏再び

1987年8月11日早朝、2回目の東雲湖へ。1984年10月時の革ツナギにバイク用ブーツという重装備から一転し、ジーンズにTシャツとジャケット、足元は運動靴というツーリング中とは思えない普段着だったため、所要時間は往復約2時間。今回も誰にも会うこと無く、東雲湖を独り占め。ガレ場でシマリスと遊んできました。

10月の雨は、阿寒富士と雌阿寒岳の山頂付近で雪に変わっていたが、麓のオンネトーの湖岸はいい感じに紅葉している。水深が浅い手前から奥へと目を向けると、湖水の色が澄んだ無色透明から独特なブルーへと変化しているオンネトー。

北海道三大秘湖「オンネトー」

北海道三大秘湖は、支笏湖の近くのオコタンペ湖、然別湖の近くの東雲湖、そして阿寒湖の近くにあって「観光バスで乗り付けるからな(やれやれ)」みたいに揶揄されていたオンネトー。初めて訪れた1984年10月、阿寒富士と雌阿寒岳の山頂付近は雪を冠り、その麓の湖周辺は紅葉し、誰もいないオンネトーは正に秘湖だった。

1987年8月、鹿追町から士幌町へ向かう直線道路で、バイクを反対車線に停めて士幌町方向を撮る。道の両側は農地と防風林が交互に現れ、道の先は丘を越える風な高低差があるように見える。

鹿追町と士幌町の間の「直線道路」

国道274号の鹿追町と士幌町の間の「直線道路」を初めて走ったのは、1984年10月のツーリングで、北海道道35号の時代。この道と足寄国道、阿寒横断道路を使って弟子屈町に行きました。その後も、沿道に美蔓パノラマパークがある道道735号と道道35号が接続して国道274号に昇格した区間は、日勝峠越え道東ルートとしてよく利用したものです。