昨日(1984年10月5日)の東雲湖は、シマリスの他に誰もいなくて秘湖を独り占め。長時間歩いて行った甲斐がありました。青空の中に雲が見える天気でしたが、白雲山と天望山の登山道入口に向かう途中、駒止湖付近で一瞬雪が降ってきたほどの寒さでした。

今日の天気は完璧な曇り空。弟子屈町から国道241号(阿寒横断道路)を経由して道道949号オンネトー線に入ります。信号が無くほぼ直線の快適な国道では自然と視界が狭まる走りになるのに加え、道両側は同じような景色の林が続くので、案内板を見落として通り過ぎてしまいました。

国道の走りから一転してオンネトー線ではバイクの速度が落ちました。当時は道幅が狭く舗装も傷んでいたことも理由のひとつですが、道両側の紅葉がとてもきれいで目を奪われたからです。ヘルメット越しからは木々が道に覆いかぶさってくるように見え、黄色や赤、茶色のトンネルの中を走っているようでした。

北海道三大秘湖のひとつオンネトーへの期待は膨らむ……というより寒さで手がかじかみ、エンジンに触れて暖めながら走り、雌阿寒温泉に着きました。当時使っていた地図ではここから先に道路の表記が無く、秘湖らしく歩いて行くのだろうと思っていましたが、砂利道が続いています。

しばらく走り、木々に邪魔されずにオンネトーが見える場所が上記写真のところ。雌阿寒岳と阿寒富士は、寒冷前線が通過して雨が雪に変わったせいか白いものを被っています。どうりで寒い訳だ。

オンネトーはもう「秘湖」ではないのか?

最初に訪れた北海道三大秘湖は、1984年8月に行ったオコタンペ湖。水際まで下りるにはちょっとした山登りの行程があり、登山道の存在もほとんど知られていないこともあって、多くの観光客は展望台から一部分しか見えない湖を眺めて帰っていきました。

二つ目は昨日(1984年10月5日)訪れた東雲湖。長い時間歩いて行くしかなかった知床の羅臼湖と同じく徒歩以外の手段が無く、往復3時間くらい歩かなければならない。当時は、然別湖の遊覧船でショートカットできたのだが……

冬の訪れを感じるオンネトー - 1984年
展望デッキと野営場のおおよそ中間地点から見えた、オンネトーと雌阿寒岳、阿寒富士。空は曇りで真っ白。山頂付近は雪を冠り、オンネトー周囲の紅葉が湖面に朧気に映っています。

後に展望デッキが設置される場所から野営場の方に行っても湖際の木々が邪魔をして、撮影スポットは数か所しかありません。野営場まであと半分くらいの地点から見えた、オンネトーと雌阿寒岳、阿寒富士。湖面に紅葉が朧気に映っています。今日は土曜日なのですが、ここまで誰もいません。1984年10月6日撮影。

最後がオンネトー。バイクや自動車を路肩に停めて、または阿寒湖畔からバスに乗って展望台停留所で降りれば目の前にはオンネトー。道路が湖岸を通っているから気軽に訪れることができるのだし、夏の観光シーズンだけを見て「秘湖」じゃないと言われてもね。

  • オンネトー
  • 北海道3大秘湖の中でも、あまりにも有名に。もう団体バスが列をなして湖の渕を通るようになってしまいました。そして1日中、人の波がきれなくなってしまいました。でも、この湖の色の変化の多様性は、まだまだ失われていないのです。
  • -「とらべるまんの北海道」 : 1982年6月20日新訂版発行

このガイドブックを持って実際にオンネトーを訪問した人のウェブサイトで、『とらべるまんの北海道』のオンネトーのページが紹介されています。この人が1983年7月にオンネトーへ行った時は、「バスや車が襲来状態でキャンプ場も盛況だった」ということです。

秘湖」にふさわしいオンネトーを体感しただけに、道幅の狭い砂利道を観光バスが何台も激走するオンネトー湖岸を想像すると似つかわしくないし、本当かなと疑っていました。でも事実でした。調べてみると、現在も夏の観光シーズンはそうだとか。

夏のオンネトー - 1987年
1987年8月、空は曇っているものの夏の光でオンネトーの湖水は青く見えます。

3年後の夏、知床に行く途中で寄っていたことが写真のネガを調べていて判明。空は曇っているものの、夏の光の下、湖水は鮮やかな青です。湖畔の展望デッキに人が多く集まっていたので、展望台の方に登って行ったような記憶があり、撮影場所は野営場入口方面へ抜けるルートのどこかだと思われる。1987年8月11日撮影。

展望台に登ったくらいですから湖畔には観光客が多かったのかもしれません。でも、夏の観光シーズンはこんなものでしょ、という感じだったと思います。人混みから離れれば、オンネトーもまだまだ「秘湖」だと言えます。

関連する他の二輪旅写真

曇り空と摩周湖の湖面が同じような色に見える。手前左の木々は赤茶色く、紅葉なのか枯葉なのか判然としない。環状の外輪山の内側は水で満たされ、人を寄せ付けない火山地形の厳しさを感じる

霧は無いが寒かった「摩周湖」

1984年10月5日、午前中に然別湖畔から歩いて東雲湖へ行ったのですが、いつ雪が降って来てもおかしくないくらいの寒さ。夕方前にはそこまで走れそうな摩周湖近くのユースホステルに予約を入れ、観光地には目もくれず弟子屈町まで一気走り。暗くなるまでの時間を使って、摩周湖を見に行ったのでした。

東雲湖は周囲約800[m]の小さな湖、別名「東小沼」。雲はあるが青空が見える。青色の湖面の一部が茶色に見えるのは、湖内に植物が生えているから。対岸はクマザサの丘で草原のように見える。木々の葉は茶色になるか落ちている。緑の木はマツだろう。

北海道三大秘湖「東雲湖」

1984年10月5日、然別湖湖畔の道を歩いて東雲湖に行きました。途中で然別湖を走る観光遊覧船が見えましたが、船着き場に降りた人はいなかったようで東雲湖を独り占め。後になって船着き場は撤去され、東雲湖へのアプローチは徒歩か、カヌーなどの人力の船+徒歩の二択。秘湖に相応しい「東小沼」でした。

摩周湖面より約230[m]高い裏摩周展望台(標高580[m])から南西方向を望む。紅葉した木々の間にカムイシュ島、その右側に湖面から高さ約350[m]の圧倒的なカルデラ壁。トドマツの左側、カムイヌプリが木々に隠れて見えている。

静かな「裏摩周展望台」

摩周湖の第1、第3展望台からの眺めを「表摩周」と言うならば、その反対側からの「裏摩周」を眺めることができるのが裏摩周展望台。アクセスが良いとは言えない別ルートを使ってわざわざ訪れる人も少なく、観光地ではない摩周湖がありました。唯一湖岸の波打ち際に下りることができる場所として、80年代のガイドブックに載っていました。