糖尿病の概念に基づく身体的特質が備わっていれば「糖尿病」

はじめに
私は、2型のような緩徐進行性1型の糖尿病患者であって、糖尿病の専門家(医師や研究者)ではありません。ニッチな検索クエリ以外では、当サイトの糖尿病関連コンテンツが検索結果上位に表示されることは稀だと思いますので、興味を持った方はブックマークの利用をおススメします。

現在の糖尿病の概念は、インスリン作用の不足に基づく種々の特徴的な代謝異常を伴う疾患群であるという認識で一致していると思われます。慢性の高血糖状態耐糖能の低下を示す代謝異常があって、この疾患概念に合致する時、糖尿病と診断されます。新しい知見が認められれば、その概念や判定方法と基準は改められます。最近では、HbA1c が血糖の糖尿病型判定に取り入れられました。

糖尿病の診断

糖尿病の診断とは、対象者が前項で述べた疾患概念に合致することを確認する作業であり、慢性高血糖の確認は糖尿病の診断にとって不可欠である。 糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版) - 日本糖尿病学会誌第55巻第7号(2012)

糖尿病の概念に合致するかどうかを確認するアルゴリズムが確立しているのであれば、医師ではない一般人であっても糖尿病の存在を判断することは可能でしょう。その前提として、どのような身体的特質を持つ病気のグループが糖尿病であるのか、という明確なリストが必要です。

糖尿病患者に共通する身体的特質を正確に記述した最初の人物は、紀元2世紀頃の Cappadocia の Aretaeus でした。彼による diabetes の臨床症状と解釈の一部はリンク先を参照してもらうとして、彼が命名した疾患名 diabetes は、現在も受け継がれ使用されています。

Aretaeus が記述した diabetes は、「口渇、多飲、多尿が絶え間なく続き、長い期間をかけて形成される慢性のもので、形成されてしまった場合は尿に体が溶け出すがごとく急速に衰弱して死亡する不思議な病気」というものです。

その時代では知識が乏しかったゆえに Aretaeus の素朴な観察に基づく記述と思われますが、その後の医学や解剖学、病態生理学、生化学、免疫学、遺伝学などの進歩に伴って、diabetes が元々持っていた特質が次々に明らかにされてきた疾患が現在の糖尿病と言えます。

糖尿病の概念

さて、時代は紀元21世紀。未だに糖尿病の特質を明らかにすべく研究が行われていますが、糖尿病とは何かと問われたら、回答として下記引用を提示したいと思います。

概念:糖尿病は、インスリン作用の不足による慢性高血糖を主徴とし、種々の特徴的な代謝異常を伴う疾患群である。その発症には遺伝因子と環境因子がともに関与する。代謝異常の長期間にわたる持続は特有の合併症を来たしやすく、動脈硬化症をも促進する。代謝異常の程度によって、無症状からケトアシドーシスや昏睡に至る幅広い病態を示す。 糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版) - 日本糖尿病学会誌第55巻第7号(2012)

上記の概念や Aretaeus が記述した diabetes は難解な文章ではないですけれども、各用語が持つ意味や背景を知らなければ、糖尿病に備わる具体的な身体的特質が見えてきません。最初に着目すべき点は、インスリン作用の不足に基づく特異な代謝異常を伴うことです。

糖尿病に備わる身体的特質

糖尿病の代謝状態を最も敏感に反映する指標は血糖値なので、ある条件下で測定した血糖値を糖代謝異常の範囲に有るか無いかの判定に使用することはできますが、その血糖値を以てインスリン作用の不足に基づく代謝疾患群の証明にはなりません。

ストレス状態でも血糖値は高くなるし、糖尿病であっても治療により正常な範囲に戻ることができるからです。血糖値が糖尿病の代謝異常を定義する範囲に有るか無いかの判定と、糖尿病の概念に基づく身体的特質が備わっていることの確認は、糖尿病の存在を判断する上でセットです。

病態と病因の一致を確認できたとすれば、他の疾患と明確に区別がつくので糖尿病の存在は確実ですが、病因や成因、発症機構は完全に解明されておらず、不明な点が多く残されています。

今解っている範囲で病因や成因を想定し、次のような情報や検査を通して成因分類を行うことが結果的に、糖尿病に備わる身体的特質を確認したことになるのだろうと思います。

  • 糖尿病の家族歴
  • 発症年齢と経過
  • 肥満の有無や過去の体重歴
  • 膵島関連自己抗体の有無
  • インスリン分泌能やインスリン抵抗性の程度
  • 遺伝子検査

発症要因

糖尿病の発症に関与する遺伝的および環境的要因が駆動する多くの異なる経路の先に待っているイベントは、インスリン効果の不足です。このことによって糖、脂質、タンパク質代謝が関与する代謝系の異常が起こり、糖尿病の代謝異常を特徴づける慢性高血糖が表れます。

糖尿病の原因は多様であり、その発症には遺伝因子環境因子がともに関与する。 糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版) - 日本糖尿病学会誌第55巻第7号(2012)

これらの経路は、インスリンを分泌する膵臓のランゲルハンス島β細胞、この細胞自体の量または機能する細胞の量、あるいはその両方に進行性の減少をもたらし、慢性高血糖を確認した時には既にインスリン効果の不足は起こっており、糖尿病の存在を気付くことになります。

1型糖尿病は、自己免疫を基礎にした膵島の炎症性病変(膵島細胞炎症および関連するβ細胞損傷)に起因すると考えられ、β細胞量の減少が進行して体のインスリン需要に対応できなくなると発症に至ります。

1型の自然史における要素
1. 遺伝因子:原因遺伝子は完全に解明されていないが、遺伝的感受性が発症の主要な危険因子であることは明らかです。HLA(ヒト白血球抗原)遺伝子は、膵島の自己免疫と関係の深い遺伝子として知られている。HLA の抗原型を調べることで、1型の疾患感受性の高低が分かる。
2. 環境因子:最も疾患感受性の高い HLA ハプロタイプを持つ人のほとんどが発症しないことから、環境因子が自己免疫のトリガーとして、およびその後の1型糖尿病へ進行させる「促進剤」として、遺伝因子との相互作用を示唆する。環境の影響と1型の発症リスクの間には相関関係が認められるが、因果関係が証明された特定の環境要因は今のところない。
3. 自己免疫:1型が自己免疫疾患であるという証拠は、死後検査または生検(免疫応答を表す細胞が膵島に湿潤しているかを顕微鏡などで確認すること)によって膵臓のランゲルハンス島に限定される特徴的なリンパ球湿潤(=膵島炎; Insulitis)を付随するβ細胞塊の減少を病理組織学的に認めたからです。自己免疫を誘導する特定のメカニズムは未解明であり、免疫応答による膵島病変の推移も不明です。
4. 自己抗体:膵島の病変を切り取って行う生検は、安全上の理由から倫理上できない。膵島関連自己抗体の存在が自己免疫機序が関わる膵島の炎症性病変(膵β細胞破壊)を表すものではないが、免疫の基礎となるリンパ球B細胞およびT細胞のβ細胞抗原に対する応答を反映しているので、「自己免疫性」のマーカーとして使用される。

2型糖尿病の発症は、β細胞の機能不全、特に食後の血糖上昇時初期のグルコース刺激に反応する急峻な第一相インスリン分泌を著しく損なうか失うことに関連しています。

短時間に大量のインスリンを分泌する第一相分泌が低下してくると、持続的な第二相インスリン分泌が代償的に増加し、グルコース恒常性を維持しようとします。結果的にインスリン分泌は遅延し、第一相分泌低下に相当する食後の血糖上昇分は、第二相の過剰分泌で下げることになります。

過剰分泌の結果として維持されるであろう血糖レベルは、インスリン抵抗性(体のインスリン需要)に対するβ細胞の適応の程度で違ってきます。β細胞が適切に機能し続ければ、インスリン分泌の代償的増加によってインスリン抵抗性を補償できますが、補償が不十分であれば血糖レベルは上昇します。

血糖値が糖尿病域に至った時、インスリン抵抗性の補償に失敗したと判断できます。糖尿病発症後も、進行性のインスリン分泌低下というβ細胞の機能不全は続きます。β細胞の機能が低下し続けることは、2型糖尿病の特徴です。

2型の自然史における要素
1. 遺伝因子:(a) β細胞の機能不全、インスリンが作用する細胞や臓器における (b) インスリンシグナル伝達 や (c) インスリン抵抗性、に関連する多くの遺伝的変異が特定されている。個々が与える影響は小さく全体的な疾患リスクに寄与すると考えられるが、若年性成人発症型糖尿病(MODY)のように一つの遺伝的変異が原因でβ細胞の機能不全を来たすこともある。β細胞の機能不全に対する遺伝的素因は、疾患リスクの高い個人(2型糖尿病患者の第一度近親者=親や子および兄弟姉妹)における耐糖能の悪化に関連していることからも裏付けられる。
2. 環境因子:インスリン需要が増加することになるインスリン抵抗性をもたらす因子として、過食(特に高脂肪食)、運動不足、肥満が挙げられる。これらを低減すれば、インスリン抵抗性の改善が期待できる。
3. 急性インスリン反応:主にグルコース刺激に反応する第一相インスリン分泌、これを欠損すると代償的に第二相インスリン分泌が増加するので、結果的にインスリン抵抗性が引き起こされる。正常血糖から糖耐能異常、さらに糖尿病へ進行する過程で、このβ細胞の機能は低下していく。
4. インスリン抵抗性:インスリン抵抗性を持つ傾向が多い肥満の人のβ細胞は、急性インスリン反応の低下をきっかけに更なるインスリン分泌の増加を強いられる。代償的増加はしているが、インスリン抵抗性の補償の程度に応じて血糖レベルは上昇する。糖尿病の家族歴がある非肥満の人(β細胞の機能不全に対する遺伝的素因を持つと思われる)は、インスリン抵抗性を補償できる範囲が狭く、高血糖状態が続くとインスリン分泌は徐々に低下していく。

インスリン効果の不足

慢性高血糖の背景にはインスリンを分泌する膵臓の機能不全があり、日本糖尿病学会の「糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告」ではインスリン効果の不足という用語で説明しているものと個人的には思います。

この疾患群の共通の特徴はインスリン効果の不足であり、それにより糖、脂質、蛋白質を含むほとんどすべての代謝系に異常を来す。 糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版) - 日本糖尿病学会誌第55巻第7号(2012)

持続的な多尿および糖尿を示す状態は「真性」の diabetes mellitus であり、インスリン発見(1921年)以前は体重減少を伴いつつ衰弱して死を待つか、飢餓療法で苦しみながら数年延命するかのどちらかでした。

Diabetes mellitus の病態を現在の糖尿病に参照すると、糖尿病の典型的な症状が表れてからケトアシドーシスや昏睡の発症までの一病期を指しており、主にインスリンが欠乏した1型糖尿病の発症エピソードで見ることが多いと思います。

インスリン発見の翌年(1922年)、糖尿病患者にウシインスリン(牛の膵臓抽出物)を投与したところ、血糖値は 520[mg/dl] から24時間で 120[mg/dl] に下がり、尿中ケトン体は消失しました。さらに6人の患者に投与して良好な結果が得られ、インスリンは糖尿病の治療に効果があることを示しました。

インスリン効果が不足する機序(仕組みや機構のこと)は次のとおりです。

本疾患群でインスリン効果が不足する機序には、インスリンの供給不全(絶対的ないし相対的)とインスリンが作用する臓器(細胞)におけるインスリン感受性の低下(インスリン抵抗性)とがある。 糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版) - 日本糖尿病学会誌第55巻第7号(2012)

インスリン効果が不足する機序
1. インスリンの供給不全:インスリンの量的な供給機能が十分に働かない状態のこと。膵ランゲルハンス島β細胞の細胞量の減少やβ細胞自体に内在する機能不全によって起こる。インスリン作用の不足状態を指す臨床的用語で言うところのインスリン分泌障害。
  • 絶対的:インスリン分泌が純粋に低下している場合
  • 相対的:インスリン需要の増加に対して分泌が追いつかない場合
2. インスリン感受性の低下:インスリン標的細胞(臓器)のインスリンに対する応答が正常未満になっている状態のこと。インスリン作用の不足状態を指す臨床的用語で言うところのインスリン抵抗性。

代謝系の異常

インスリン効果の不足はインスリンを分泌する膵臓のβ細胞の機能不全に起因しますから、糖尿病は内分泌疾患であるとも言えますが、主要な病態は代謝疾患の形を取ります。体のインスリン需要に対して膵β細胞からの供給が不十分でも代謝系は適応し、様々な疾患の原因となる異常が生じます。

この疾患群の共通の特徴はインスリン効果の不足であり、それにより糖、脂質、蛋白質を含むほとんどすべての代謝系に異常を来す。 糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版) - 日本糖尿病学会誌第55巻第7号(2012)

インスリン効果の不足に適応した代謝系は代謝が一方向に傾き、それに伴って代謝経路の切り替えや代謝産物の増加や減少が起こります。極端な場合、終末代謝産物であるケトン体が血中に過剰に蓄積して糖尿病性ケトアシドーシスを発症したり、著しい高浸透圧・高血糖状態を来たします。

最も極端な場合はケトアシドーシスや著しい高浸透圧・高血糖状態を来たし、ときには意識障害、さらに昏睡に至り、効果的な治療が行われなければ死に至ることもある。 糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版) - 日本糖尿病学会誌第55巻第7号(2012)

代謝系の最初の異常は、肝臓や筋肉の細胞へのグルコース輸送が促進されないという形で表れます。これら細胞のグルコース利用は減少し、血液中には利用されないグルコースが滞り、グルコースが「有る」のに利用できなくて「無い」という矛盾した状態が生じます。

エネルギー代謝において、グルコースは細胞呼吸のための最も重要なエネルギー源なので、「有る」のに「無い」グルコースを補償するために糖、脂質、タンパク質などの代謝経路を適応した結果、次の代謝産物が血液中に過剰に蓄積します。

  • グルコース(高血糖)
  • リポタンパク(高トリグリセリド血症)
  • ケトン体(高ケトン血症)

これらの代謝産物は通常の代謝でも産生していますが、適切に利用されるものです。利用できない代謝産物が血液中に過剰に蓄積するという代謝系の異常が、糖尿病の典型的症状や急性代謝失調、糖尿病特有の合併症、動脈硬化症を原因とする疾患を招いてしまうことが問題です。

糖尿病の代謝状態を正常な方向へ改善することは可能ですが、多くは膵β細胞の機能が進行性に低下するので、完全に正常な代謝状態にまで回復することはほとんど無いと考えられます。

インスリン作用不足を軽減する種々の治療手段によって代謝異常は改善する。 糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版) - 日本糖尿病学会誌第55巻第7号(2012)

慢性高血糖

糖尿病が強く疑われる「高血糖」とは、代謝異常の程度が慢性合併症のリスクを伴う段階に至ったところの空腹時血糖値、または75[g]経口糖負荷試験(OGTT)2時間血糖値の各閾値を超えた領域を言います。

別の日の再検査でも「高血糖」だった場合を「慢性」と判定します。

糖尿病は、インスリン作用の不足に基づく慢性の高血糖状態を主徴とする代謝疾患群である。 糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版) - 日本糖尿病学会誌第55巻第7号(2012)

血糖値は連続的に変化するものなので正常血糖と高血糖を分断するポイントは存在しませんが、糖尿病域となる血糖基準値を設定しなければ血糖値を用いて糖尿病を定義することができません。糖尿病特有の合併症(糖尿病網膜症)リスクと高血糖の関係から基準値が設定されました。

糖尿病網膜症のリスクという観点から設定された糖尿病域となる血糖値の判定基準は、次のとおりです。

  • 空腹時血糖値 ≧ 126[mg/dl](前夜から10時間以上絶食し、朝食前に測定)
  • 75[g]経口糖負荷試験(OGTT)2時間血糖値 ≧ 200[mg/dl]

ヘモグロビンにグルコースが非酵素的な反応で結合したヘモグロビンの一形態であるヘモグロビンA1c(HbA1c)は、グルコースに曝される時間が長いほど、そしてグルコース濃度が高いほどその生成反応が進みますので、「慢性」の「高血糖」を反映します。

空腹時血糖値および OGTT 2時間血糖値が糖尿病域となる判定基準に対応する HbA1c のそれは、次のように設定されました。HbA1c の上昇と空腹時血糖値および OGTT 2時間血糖値の上昇との間には高い相関関係がありますが、HbA1c の値が各血糖値に相当するということではありません。

  • HbA1c ≧ 6.5[%]

網膜症リスクとの関係から設定された判定基準ではありませんが、食後1.5~3時間目に測定した血糖値が200[mg/dl]を超えるというのは、75[g] OGTT で2時間値が200[mg/dl]以上というよりも通常は著しい糖代謝異常を反映しているので、次の判定基準も糖尿病域となる血糖値とみなすようです。

  • 随時血糖値 ≧ 200[mg/dl]

典型的症状

Aretaeus の diabetes には「口渇、多飲、多尿と体重減少」の記述が見られますが、現在でも「糖尿病の典型的な症状」と言われるくらい糖尿病が疑われる症状です。利尿剤を投与されていないことが確認できて尿糖が陽性だった多尿の場合、ほぼグルコース(ブドウ糖)が多尿の原因物質です。

血糖値が著しく高くなるような代謝状態では口渇、多飲、多尿、体重減少が見られる。 糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版) - 日本糖尿病学会誌第55巻第7号(2012)

「口渇 → 多飲 → 多尿 → 以下ループ」が持続し体重減少も伴う症状があって尿糖陽性の場合、著しい高血糖とその持続を示唆しますので、ほぼ慢性の高血糖状態です。血糖値が糖尿病域の「高血糖」と判定されれば、「ほぼ」が外れて糖尿病の存在も確定です。

糖尿は甘い?
多尿が見られる diabetes 患者の尿(糖尿)は甘い[注記:ブドウ糖が溶けているから]という特徴を表すため、17世紀の英国の解剖学者・医師である Thomas Willis が mellitus という用語を作り出し、diabetes に追加した。現在、diabetes mellitus は正式な疾患名となっている。

特有の合併症

糖尿病の代謝状態が長期間続けば、細小血管が特異的に障害を受けます。「糖尿病三大合併症」として知られる糖尿病性神経障害、糖尿病網膜症、糖尿病性腎症は、それぞれ神経、眼球の網膜、腎臓の糸球体の細小血管障害などによって発症します。

代謝異常が長く続けば、糖尿病特有の合併症が出現する。網膜、腎、神経を代表とする多くの臓器に機能・形態の異常を来す。これらの合併症に共通するものは細い血管の異常であり…。 糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版) - 日本糖尿病学会誌第55巻第7号(2012)

眼底検査を行って網膜に張り巡らされた血管の状態を観察することにより、糖尿病網膜症の存在を直接的に観察することができます。血糖値が糖尿病域の「高血糖」を示し、かつ糖尿病網膜症が確認された場合は、当然の事ながら糖尿病の存在も確定です。

慢性高血糖の確認

糖尿病に備わる身体的特質として、A.発症要因、B.インスリン効果の不足、C.代謝系の異常、D.慢性高血糖、E.典型的症状、F.特有の合併症 について書いてきました。典型的症状や特有の合併症は糖尿病の病態そのものですからその存在は確定的で、後は慢性高血糖を確認できれば確定します。

軽度の代謝系の異常では、ほとんど症状を表さないか有ったとしても倦怠感などのありふれた症状です。糖尿病の代謝状態ではグルコースが血液中に過剰に蓄積する「高血糖」が持続するという代謝系の異常が必ず表れるという特徴から、先に慢性高血糖が確認されることが多いと思います。

このような場合、高血糖になる可能性(特定の薬剤の影響や糖尿病以外の疾患~脳卒中、心筋梗塞、感染症、炎症など)を除外できれば、糖尿病に備わる身体的特質のひとつを確認したことになります。

そして、他に糖尿病の身体的特質をどの程度備えているかが、糖尿病の存在を確定するための判断材料になります。

Cookie の使用に関する