飲酒による低血糖に注意
お酒は、古来より人間の営みと深く関わっており、現代社会においても、その存在を無にすることはできません。
「酒は百薬の長」と言われ、健康や精神に良い影響を与える反面、健康を害し精神を蝕み、時には生命を奪ってしまう悪い面もあります。
糖尿病だから禁酒しなければならないとは一概に言えず、血糖コントロールができている患者は、その範囲内でお酒を楽しんでいると思いますが、糖尿病であるがゆえに注意が必要なこともあります。
お酒に含まれている、糖質とアルコールが問題です。
- 直接的に血糖を上昇させる糖質の過剰摂取
- アルコールは、低血糖を引き起こす要因のひとつ
飲酒の心構えとして、酔った場合にも低血糖の対処ができるような自制心は必要です。
飲酒の効用
飲酒による効用は、医学的に下記の疾患で確かめられているそうです。
- 虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)
- 脳梗塞
- 動脈硬化
- 虚血性心疾患
-
心臓の冠状動脈が詰まったり狭くなることにより、心筋に血液が十分に供給されず、栄養不足および酸素不足(虚血)の状態にある心臓の病気です。
- 狭心症:一過性の虚血
- 心筋梗塞:心筋が壊死
主な原因は動脈硬化で、心筋虚血が起こる可能性は、トレッドミル負荷心電図検査で調べることができます。
- 脳梗塞
-
脳の動脈が詰まったり狭くなることによる虚血のため、壊死の状態になる病気です。
- 動脈硬化
-
心筋梗塞も脳梗塞も動脈硬化が最大の危険因子です。動脈硬化の危険因子は、
- 糖尿病
- 血中脂質異常
- 高血圧
- 喫煙……など
糖尿病の代謝異常は、血中の過剰なグルコースの蓄積(=高血糖)やリポタンパクの蓄積(=高トリグリセリド血症)が生じるので、動脈硬化が促進されます。
- 飲酒(アルコール)の効用
-
次のような抗動脈硬化作用がありますが、「飲酒量は少しであるべし」というところがミソのようです。
- 血液中の高比重リポ蛋白(HDL; High Density Lipoprotein いわゆる善玉コレステロール)の増加による血管の余分なコレステロールの除去
- 血小板の凝集抑制(血栓が溶けやすくなること)による「血液サラサラ」効果
筆者は、糖質の過剰摂取にならないようにと、つまみ無しで蒸留酒(芋焼酎や米焼酎)や糖質0ビール系アルコール飲料を飲んでいました。すると、予想外に血糖値が下がる場合がありました。
お酒が低血糖を引き起こす理由
アルコール(エタノール)は、胃や小腸から吸収されて、肝臓で代謝されます。
炭水化物(糖質)は、グリコーゲンとして肝臓に貯蔵されるほか、肝臓では、糖新生によりグルコースが産生されて、血液中に放出されます。
糖と同じように、エタノールも肝臓で代謝されるため、飲酒にはアルコール性低血糖の危険があります。
- アルコール性低血糖の発症要因
-
- エタノール代謝が糖代謝より優先
- エタノール代謝により補酵素の需要が増加
- 補酵素の需要増加により糖代謝で使われるべき中間物質が減少
- 本来作られるであろうグルコースの量が減少 (糖新生の抑制)
- 低血糖の症状が現れ得る
そして、次のような時にアルコール性低血糖は起こりやすいです。
- 食事を摂らないことが長時間におよんでいる時
- 血中グルコースの由来が糖新生に依存している時
- アルコールを摂取した(している)時
糖尿病患者が、空腹時に何も食べないで飲酒することは危険です。
また、肝臓がアルコールを分解している間は低血糖を起こしやすい状況ですので、大量または長時間の飲酒も危険です。
低血糖の予防策は、飲酒と同時に炭水化物も摂ることです。インスリン注射や経口血糖降下薬を服用している人は、特に注意して飲酒するべきでしょう。
どうりで飲酒時は、血糖値が下がるはずです。
これからは、おじいちゃんおばあちゃんの「少しのお酒が長寿の秘訣です」みたいな飲酒スタイルで、スマートに飲みましょう、ですね。
2013年9月現在、筆者の飲酒の機会は春の花見と秋の芋煮会の計2回、350[ml]缶を2本程度飲むだけになってしまいました。
自分の意思で飲まないというより、身体に負担がかかり苦しいのでお酒が自然と受け付けなくなった、というのが本音です。
芋焼酎の買い置きが数十銘柄あるのですけれども、どうしたものか…。