お酒は「~単位」と数えるものですか
日本における糖尿病の食事療法では、お酒は「1日2単位を限度とする」とされています。
お酒は、良い面悪い面を併せ持っているので、積極的に勧められるものでもないし、血糖コントロールを良い状態で維持していれば、禁酒や節酒を強いられるものでもないと思います。
筆者の場合、医師には「煙草は止めなさい」と言われましたが、お酒については何も言われていません。
飲みたいときは飲むし、飲みたくないときは飲みません。以前は毎日飲んでいたのに糖尿病診断後は少しずつ減っていき、今では年に2回ほど嗜む程度になってしまいました。
「糖尿病は何々を食べてだめなんだよね(キリッ」などと同じことを何回も聞かされて少々辟易している気持ちと、「お酒は1日2単位まで」という記述を見たときに感じる気持ちが、自分の中では重なります。
日本酒や焼酎は1合、2合、ビールはジョッキ1杯、2杯、ワインはボトル1本と数えるべきで、「いやいや俺は1升、2升だ」「私は1樽よ」と数える人もいるかもしれませんが、「単位」という呼び方には上から目線的な感じを持ってしまいます。
お酒に含まれるエネルギーは糖質とアルコール
「食品交換表」では1単位=80[kcal]と決まっていますから、お酒2単位はエネルギー換算すると160[kcal]になります。
このエネルギー換算という部分が曲者で、お酒には次のエネルギーが含まれます。
- 糖質(1[g]=4[kcal])
- アルコール(1[g]=7[kcal])
糖尿病患者が意識しておくべき血糖値を直接上昇させる食べ物は、炭水化物のうちの糖質です。糖質は消化の過程でグルコースにまで分解され、エネルギー源として利用または貯蔵されます。
アルコールは最終的に二酸化炭素と水にまで代謝されますが、その過程でエネルギーの多くは「熱」になります。体が冷えている時にお酒を飲むと体が温まる、という「あれ」です。
アルコールのエネルギーは、体にとっては無駄に熱を発生しているだけで、栄養的にはあまり役に立ちません。
お酒に含まれるエネルギーのうち、アルコールは栄養素ではないのですから、「お酒は1日2単位まで」などと「食品交換」できることに何か違和感を感じます。
お酒を飲む場合は、次のように考えるのがよいのではないかと思うのです。
- お酒に含まれる糖質も肥満の原因になるので、飲酒量に注意する。
- 蒸留酒である焼酎やウイスキー、糖質0ビール系アルコールなど糖質を含まないお酒を飲む方がよい。
- 飲まないで済むのであれば飲まない方が良いが、我慢する必要もない。
実はアルコールには、血糖値を下げてしまう作用もあるのです。「もっとお酒を飲まなければ」と思った人は残念でした。これは危ない作用なのです。