食後高血糖改善薬セイブル®を使う理由
2009年6月5日:19回目の通院。HbA1c(JDS値)は、5月測定値の6.3[%]から今月6.5[%]へと少し悪くなりました。
去年の12月から今年3月にかけて、7.3[%] → 7.1[%] → 6.4[%] → 6.0[%]と改善していき、その後4月から6.0[%] → 6.3[%] → 6.5[%]とまた悪化傾向になってきました。
「何か対策が必要なのでは?」と思いましたが、5月から食後高血糖改善薬セイブル®の服用を始めたところですので、このまま様子を見るしかありません。
- 2009年5月の血糖自己測定平均値
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- 朝食前:128, 後:180 [mg/dl]
- 昼食前:126, 後:185 [mg/dl]
- 夕食前:104, 後:160 [mg/dl]
- 就寝前:160 [mg/dl]
インスリン量:7-3-4-4(朝食前-昼食前-夕食前-就寝前)[単位]。来月もインスリン量に変更無し。
答えは低血糖のリスク
HbA1c(JDS値)の目標値が6.5[%]以下とは、随分後ろ向きな目標だと思っていた時期もありました。でも、患者の病態や治療に対する意識、嗜好や価値観によって、到達できるHbA1cの目標値が違うことは当然です。
筆者も追加インスリンの補充だけで5[%]台前半という時期(ハネムーン期)もあったものの、基礎インスリンの補充が必要になった今では、5[%]台など夢の値です。
自分のインスリン分泌が残っていることで血糖コントロールが凄く助かっている反面、未だ残っている自分のインスリンが足を引っ張ることもあると感じています。
食事に気をつけたり、進んで運動をしたり、あるいは薬の助けを借りて血糖を良い状態にコントロールすることは、合併症の発症および進行の防止に効果があると科学的に明らかになっているので、患者は、目標のHbA1c値を意識して生活を自己管理します。
また、糖尿病は、動脈硬化の危険因子としての側面も持ちます。
- 動脈硬化の危険因子
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- 糖尿病
- 脂質異常
- 高血圧
- 肥満
- 喫煙
- ストレス
- 加齢
動脈硬化は、生命の危険が伴う大血管障害=心筋梗塞や脳卒中などの病気のリスクで、食後高血糖が動脈硬化を促進させることが明らかになっています。HbA1cからは見えてこない食後高血糖にも注意しなければなりません。
食後高血糖を改善するためにインスリン注射の量を増やせば、低血糖のリスクが増えます。自分のインスリンは瞬間的に多くの量を分泌できませんが、時間をかければ正常な血糖レベルに戻せる程度はあるようです。
ですから、自分のインスリンが受け持つ血糖降下分を残しておかないと、簡単に低血糖になってしまいます。これが単純にインスリン注射の量を増やすことができない理由だと思います。
インスリンを増量したいが低血糖リスクが増えるとなれば、食後高血糖改善薬セイブル®のような薬とインスリンを併用するしかないようです。
あちらを立てればこちらが立たず、なかなか難しいものです。脳卒中や心筋梗塞のリスクを考えれば、セイブル®で食後高血糖を抑えつつHbA1c(JDS値)6.5[%]の方がいいです。
また、セイブル®は、インスリン分泌を促す作用がないので、膵臓に負担がかからないのも理由のひとつでしょう。