食事療法の標的は炭水化物 [糖尿病教育入院6日目]

2007年11月3日土曜日:祝日につき外来診療が休み、ということで静かなものです。検査もありません。空調の効いた病棟内にいると気づきませんが、いつのまにか秋の空気の色になっています。

入院中、栄養士による個別栄養指導が2回ありました。1型2型を問わず、食事療法は、糖尿病の治療として重要な位置を占めます。

1型はインスリン注射とのマッチングが大切ですし、2型は自分の膵臓から分泌されるインスリンの働きを超えないように食事と運動を工夫する必要があると思いますが、まず、自分の体がどのような状態にあるのかを知らなければなりません。

  • カロリー
  • 炭水化物
  • 糖質
  • タンパク質
  • 脂質
  • 中性脂肪
  • コレステロール
  • インスリン抵抗性
  • インスリン分泌不全
  • グルコース
  • グリコーゲン
  • 糖新生
  • 糖代謝
  • インスリン作用……

などの体内における意味を理解する努力を怠れば、人の意見に左右され易く、極端な食事療法を行なってしまう可能性大です。たとえば、カロリー至上主義や糖質制限至上主義のような。

「食品交換表」の見方

いびつな理解をしなければ、「食品交換表」を利用した食事療法も、糖質制限食も、理にかなったものだとわかるはずです。

「食品交換表」では、食品を6つの群(表)に分類しています。

食品分類
  • 表1. 主食(ごはん、パン、麺類など):穀物類およびその粉製品、芋や豆、かぼちゃや、栗などの炭水化物を多く含む野菜と種実
  • 表2. 果物類(みかん、りんご、バナナなど):炭水化物(果糖)を多く含む
  • 表3. 魚肉類(魚や肉、チーズ、豆腐、たまごなど):タンパク質を多く含む
  • 表4. 乳製品(牛乳、ヨーグルトなど):炭水化物、タンパク質、脂質を含む
  • 表5. (サラダ油、バター、アボガド、霜降肉など):油や脂質を多く含む
  • 表6. 野菜類(キャベツ、はくさい、にんじんなど):他に海藻やきのこ、こんにゃく

炭水化物を含む食物を摂取すると、消化の過程で分解されて小腸から吸収されたグルコースは血流に乗ります。グルコースが血液中に多く含まれるとき、それは血糖値が高い状態です。

表3.の魚肉類だけを食べた後、血糖値はどうなりますか?

食事由来のグルコースが無いので、直接的な血糖値を上昇させる要素はありません。

しかし、タンパク質や脂質は、グルカゴン分泌を刺激して肝臓からグルコースを放出させると同時に、インスリン分泌を刺激してグルコース利用を促します。結果的に血糖値が変わらないだけです。

インスリン作用が不足して「肝グルコース産生>グルコース利用」の状態にあるならば、血糖値は上昇するでしょう。

とは言え、食事由来のグルコースの方が血糖値に対する影響は大きいですので、表1.の炭水化物食品を食べ過ぎていないのか、まずはその量に注目するべきです。

2007年11月03日土曜日の朝食の栄養素詳細献立表

これは、下記の朝食写真の栄養素詳細献立表です。

献立表の表1.から表6.は、「食品交換表」の食品群のことで、数字の単位は、[単位](1単位=80[kcal])です。この献立表から求めた炭水化物量とカロリー量を、入院4日目から退院までの食事写真横に記入してあります。

「食品交換表」では、80[kcal]を1単位と決めています。カロリーは、栄養学的な熱量(エネルギー)を表わす単位で、炭水化物1[g]が持っている熱量はいくつ、タンパク質1[g]はいくつ、脂質1[g]はいくつと決まっています。

食品の表し方をカロリーにするか栄養素の重さにするかが違うだけで、言っていることは同じです。

「食品交換表」の考え方に沿うと、1日のエネルギー量の50~60[%]を表1.の食品から摂ることで、結果的に炭水化物の量が制限されるのですが、人によっては血糖コントロールがうまくいかないこともあるでしょう。

炭水化物と血糖の関係を理解した上で、表1.の食品を減らすことができればいいのですけれども、エネルギーの面から見ていく「食品交換表」は、炭水化物が裏に隠れてしまって見えにくいことが欠点のひとつだと思います。

肥満を解消しなければならない2型糖尿病患者にとって、カロリーの面から見ていくエネルギーコントロールの食事療法は、血糖を安定させる効果はあると思います。

自分の体がどのような状態にあるかを知り、どのような食事療法を選択して、どう実行するかが良い血糖コントロールへの道です。そのためには、人の体の仕組みを理解することも必要です。

何を食べるかは人それぞれです。筆者の場合は、状態が悪くなる毎にごはんの量を220[g]→200[g]→180[g]と減らしてきています。2010年8月からは1日3食にしたこともあり、ごはんの量は1食140[g]ですが、これ以上ごはんの量を減らすことはないと思います。

入院6日目の治療、検査、食事の記録

  • 0715 起床。血圧 : 110/70[mmHg], 体重測定:65.5[kg]
  • 0730 血糖値測定:150[mg/dl]
  • 0800 インスリン注射:8単位、朝食:ごはん220[g](82[g]=370[kcal]=4.6単位)、キャベツの味噌汁、生揚げと大根のおろし煮、なすといんげんの炒り煮、牛乳(炭水化物:103[g]、カロリー : 642[kcal]=8.0単位)、食後メルビン1錠

    朝食 2007年11月03日 土曜日 ごはん220[g](82[g]-370[kcal]-4.6単位)、キャベツの味噌汁、生揚げと大根のおろし煮、なすといんげんの炒り煮、牛乳(炭水化物:103[g]、カロリー:642[kcal]=8.0単位)

  • 0920 散歩(20分)
  • 1130 血糖値測定:211[mg/dl]
  • 1200 インスリン注射:6単位、昼食:ごはん220[g](82[g]=370[kcal]=4.6単位)、人参と玉葱と絹さやの野菜スープ、帆立貝と海老のバター焼き、ブロッコリー、さやいんげんと人参のくるみ和え(炭水化物:97[g]、カロリー : 543[kcal]=6.8単位)

    昼食 2007年11月03日 土曜日 ごはん220[g](82[g]=370[kcal]=4.6単位)、人参と玉葱と絹さやの野菜スープ、帆立貝と海老のバター焼き、ブロッコリー、さやいんげんと人参のくるみ和え(炭水化物:97[g]、カロリー:543[kcal]=6.8単位)

  • 1245 散歩(20分)
  • 1730 血糖値測定:162[mg/dl]
  • 1800 インスリン注射:8単位、夕食:栗おこわ170[g](75[g]=288[kcal]=3.6単位)、えのきたけとおくらのお汁、ぶり大根、絹さや、卵豆腐、野菜あん (玉葱、人参、グリーンピース)、りんご(炭水化物:113[g]、カロリー : 630[kcal]=7.9単位)、食後メルビン1錠

    夕食 2007年11月03日 土曜日 栗おこわ170[g](75[g]=288[kcal]=3.6単位)、えのきたけとおくらのお汁、ぶり大根、絹さや、卵豆腐、野菜あん (玉葱、人参、グリーンピース)、りんご(炭水化物:113[g]、カロリー:630[kcal]=7.9単位)

  • 1915 散歩(20分)
  • 2200 血糖値測定:180[mg/dl]、就寝