経口ブドウ糖負荷試験は耐糖能を調べる検査

特定検診や健康診断の空腹時血糖値およびHbA1cの結果から、糖尿病が強く疑われるとしてスクリーニングされた場合、医療機関を受診(要受診)するよう勧められます。

しかし、「要受診」としてスクリーニングされなかったグループ、「要精検」や「要観察」には、糖尿病あるいは糖尿病の高リスク群が未だ含まれています。

経口ブドウ糖負荷試験(OGTT; oral glucose tolerance test)は、これらを感度良く検出可能な検査です。

経口ブドウ糖負荷試験
  1. グルコース(ブドウ糖)を経口摂取後、
  2. 決められた経過時間毎に採血および血糖値を測定し、
  3. 血液中からグルコースがどれほど速く処理されるのか(耐糖能)を調べる検査。

OGTT0時間値(=空腹時血糖値)およびOGTT2時間値の結果から、耐糖能を次の3つの型で判定します。

  • 糖尿病型:血糖値は糖尿病レベル
  • 境界型:耐糖能異常
  • 正常型

糖尿病の有無の判断は、同一採血同日測定の空腹時血糖値とHbA1cで行うことが推奨されていて、コストと時間がかかるOGTT2時間値とHbA1cから判断することはほとんど無いようです。

けれども、空腹時および糖負荷時の2通りの「糖の流れ」をダブルチェックできる経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)は、「要精検」や「要観察」のグループから糖尿病型を抽出するために有用な検査です。

耐糖能の判定

糖代謝異常の程度を表す耐糖能は、OGTTから得られる空腹時血糖値(=OGTT0時間値)およびOGTT2時間値から判定し、糖尿病型、正常型および境界型の3つに区分できます。

図1.OGTTによる型区分:耐糖能は、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)から得られた空腹時血糖値およびOGTT2時間値で判定します。空腹時血糖値が126[mg/dl]以上またはOGTT2時間値が200[mg/dl]以上のものが糖尿病型です。空腹時血糖値が110[mg/dl]未満かつOGTT2時間値が140[mg/dl]未満のものが正常型です。境界型は、正常型にも糖尿病型にも属さないものです。

糖尿病型

この血糖レベルは、糖尿病に相当します。

図2.糖尿病型区分:糖尿病型は、空腹時血糖値が126[mg/dl]以上またはOGTT2時間値が200[mg/dl]以上のもの。

  • 空腹時血糖値 ≧ 126[mg/dl]
  • OGTT2時間値 ≧ 200[mg/dl]

この判定基準値は、高血糖と慢性期合併症のひとつ、網膜症の関係から定められました。

網膜症の発症リスクが明らかに急に増加するポイントは、空腹時血糖値は140[mg/dl]から、OGTT2時間値は240[mg/dl]からですが、国際的な整合性を図ったことで基準値が低く設定されています。

正常型

正常型は、数年間経過を観察しても糖尿型に悪化することはほとんど無いです。(糖尿型への移行は年間1[%]未満)

ただし、1型のように急速に進展するタイプも有りますから、悪化する可能性は、年齢性別に関係無く誰にでもあります。

図3.正常型区分:正常型は、空腹時血糖値が110[mg/dl]未満かつOGTT2時間値が140[mg/dl]未満のもの。

次の2つの基準を同時に満たすもの。

  • 空腹時血糖値 ≦ 109[mg/dl]
  • OGTT2時間値 ≦ 139[mg/dl]

注記)数値の連続性からすれば、それぞれ「<110」「<140」と正確に記述すべきですが、測定値の小数点以下は事実上明示されませんので、わかりやすく「≦109」「≦139」 という表記にしています。

境界型

境界型は、正常型にも糖尿病型にも属さないもので、正常型に比べて糖尿病型に悪化するリスクが高いです。(年間5[%]程度が糖尿病型へ移行)

図4.境界型区分:境界型は、正常型にも糖尿病型にも属さないもの。

  • 110[mg/dl] ≦ 空腹時血糖値 ≦ 125[mg/dl] かつ OGTT2時間値 < 140[mg/dl]
  • 140[mg/dl] ≦ OGTT2時間値 ≦ 199[mg/dl] かつ 空腹時血糖値 ≦ 125[mg/dl]

注記)数値の連続性からすれば、それぞれ「<126」「<200」と正確に記述すべきですが、測定値の小数点以下は事実上明示されませんので、わかりやすく「≦125」「≦199」 という表記にしています。

OGTT実施条件

耐糖能の正確な結果を得るためには、次の条件を満たしていることが必要です。

OGTTの条件
  • OGTT実施前数日から1週間の間に、糖質を150[g]以上含む食事を3日以上摂取
  • OGTTの前夜から、10時間以上の絶食(飲水は許される)
  • OGTTは、早朝空腹時(朝食前)に実施

糖質150[g]は、白米に換算すると約400[g]、およそ小盛り3杯分です。食事の糖質は他にも含まれていますから、糖質150[g]相当の食事は、低糖質食と言えるレベルですね。

糖質摂取が少ない場合、耐糖能が低下することは明白な事実ですが、その幾序は解明されていません。良い結果が出るようにと思ってパンやごはん、麺類、甘いものを控えても、耐糖能の結果は実際より悪い方向に出る、ということです。

OGTTの手順は次のとおりで、検査終了まで水以外の摂取は禁止、できるだけ安静を保ち、検査中は禁煙です。

OGTTの手順
  1. 糖負荷前のOGTT0時間値(=空腹時血糖値)測定用に採血
  2. グルコース75[g]相当水溶液を5分以内で経口摂取
  3. 糖負荷後30分、60分、120分(OGTT2時間値)経過毎に採血