糖尿病の高リスク群(前糖尿病状態)

特定検診や健康診断の結果で、血糖値HbA1cの項目が「要精検」や「要受診」だったら、糖尿病だろうか?と不安になると思います。

糖尿病の疑問
  1. 血糖値が高くなる病気ですか?
    • 違います。代謝異常によって、体にダメージを受ける病気です。血糖値は、代謝異常の程度を表す指標になるもののひとつです。
  2. どのような症状が出ますか?
    • ほとんど症状は表れません。しかし、軽度の代謝異常でも長期間持続すれば、細小血管を持つ臓器の機能・形態が障害され、それらは元に戻りません。
  3. 治りますか?
    • 治りません。生涯にわたり、食事・運動療法や薬物療法の継続が必要です。

悲観するようなことばかりですが、代謝異常が軽ければ軽いほど予防や治療が容易なことは確かです。

検診でスクリーニングされた「あなた」はラッキーだと思います。

スクリーニングの判定基準

次の2つの同一採血で行われる検査をもとにスクリーニングされます。

  • 空腹時血糖値
  • HbA1c(NGSP)

スクリーニング後の「あなた」が取るべき行動は、

  1. 医療機関を受診して再検査を受ける。
  2. 軽度の糖代謝異常も判定可能な経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を受ける。
  3. 経過観察

のいずれかになると思います。

要受診:糖尿病が強く疑われるので、医療機関を受診する。

図1.要受診のスクリーニング範囲:空腹時血糖値が126[mg/dl]以上またはHbA1c(NGSP)が6.5[%]以上のもの。

  • 空腹時血糖値 ≧ 126[mg/dl]
  • HbA1c(NGSP)≧ 6.5[%]

要精検:現在、糖尿病の疑いが否定できないので、医療機関等で経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を受ける。

図2.要精検のスクリーニング範囲:空腹時血糖値が110[mg/dl]以上125[mg/dl]以下またはHbA1c(NGSP)が6.0[%]以上6.4[%]以下、ただし、要受診のスクリーニング範囲を除くもの。

  • 110[mg/dl] ≦ 空腹時血糖値 ≦ 125[mg/dl]
  • 6.0[%] ≦ HbA1c(NGSP)≦ 6.4[%]
  • ただし、要受診のスクリーニング範囲を除く

経過観察

要観察:空腹時血糖値の正常域(またはそれに相当するHbA1c)の高値側にありますが、基本的に経過観察です。

家族(親子兄弟姉妹)に糖尿病患者がいる、あるいは自身が肥満であれば、将来の発症リスクを考えて、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を受けるのもよいでしょう。

図3.経過観察のスクリーニング範囲:空腹時血糖値が100[mg/dl]以上109[mg/dl]以下またはHbA1c(NGSP)が5.6[%]以上5.9[%]以下、ただし、要受診および要精検のスクリーニング範囲を除くもの。

  • 100[mg/dl] ≦ 空腹時血糖値 ≦ 109[mg/dl]
  • 5.6[%] ≦ HbA1c(NGSP)≦ 5.9[%]
  • ただし、要受診および要精検のスクリーニング範囲を除く

糖尿病発症リスクが高いグループ

経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の判定のうち、糖尿病型でも正常型でもない境界型には発症過程のグループも含まれていると考えられます。

糖尿病発症の高リスク群:OGTTの結果、境界型と判定されたもの。

図4.糖尿病発症の高リスク群:75[g]OGTT2時間値が140[mg/dl]以上199[mg/dl]かつ空腹時血糖値が125[mg/dl]以下、空腹時血糖値が110[mg/dl]以上125[mg/dl]以下かつ75[g]OGTT2時間値が139[mg/dl]以下、の両者を満たすもの。

  • 140[mg/dl] ≦ 75[g]OGTT2時間値 ≦ 199[mg/dl] かつ 空腹時血糖値 ≦ 125[mg/dl]
    → IGT(impaired glucose tolerance)
  • 110[mg/dl] ≦ 空腹時血糖値 ≦ 125[mg/dl] かつ 75[g]OGTT2時間値 ≦ 139[mg/dl]
    → IFG(impaired fasting glucose)

耐糖能異常の他にも、次のような糖尿病型移行の危険因子があります。

  • 肥満
  • 運動不足
  • 糖尿病の家族歴
  • 高血圧
  • 脂質異常症
  • 年齢(45歳以上)

このグループは生活習慣指導(特定保険指導)の対象になると思いますが、症状がある訳でもないし、よほど意志が強い人でない限り生活習慣改善のために行動しないでしょう。

少なくとも年1回の特定検診や健康診断は忘れずに受けるべき、と個人的には思います。