肩関節周囲炎(五十肩)の治療記録

このページは、筆者が経験した肩関節周囲炎(五十肩)の症状や受けた検査・治療、医療費などの記録です。

五十肩とはどういうものなのか、全く誤解していました。首筋から鎖骨あたりに感じるこりや痛みのことで、肩こりがひどくなった状態だろうと思っていました。

糖尿病や脳卒中と同様に、よく耳にし口にする病名(俗称を含む)ですけれども内容までは理解されていない、病気の知識など一般的にこのようなものです。

整形外科の専門書などには、五十肩の痛みは自然に回復すると書いてありますが、肩関節周囲炎の炎症期は血糖コントロールが悪化するので、炎症を抑える治療を受けた方がよいと思います。

また、筆者の主治医によると「五十肩の患者が糖尿病であることが多い。五十肩以外にも肩関節まわりに痛みを生じる疾患として、腱板断裂や石灰沈着性腱板炎、変形性肩関節症、心筋梗塞や狭心症によるものなどの場合があり、自然に治ると思って放置しない方が良い」ということでした。

受診に適した科は整形外科

肩関節まわりに痛みを感じた場合、何科を受診すればよいのか。明らかに眼科、耳鼻咽喉科、消化器科ではないのはわかりますけれども、困ってしまいます。

日本臨床整形外科学会のウェブサイトに次のような記述がありました。

整形外科で診る病気:ある日、重いものを持って腰が痛くなったとしましょう。あなたは何科の医者にかかりますか。内科でしょうか、外科でしょうか。多くの方々が日常経験したことのある腰痛、肩こり、神経痛、関節痛などや骨折、捻挫、打撲、切り傷などの患者さんを治療するのが整形外科です。

整形外科は運動器疾患外科:整形外科は、四肢(手足)と体幹(せぼね)を治療する診療科です。首から足までの、内臓と皮膚を除いた病気を取り扱うのが整形外科です。また、高齢化社会の到来とともに手足の動きが悪くなった患者さんを、リハビリテーションで動きやすくして人間らしい生活が出来るようにするのも、整形外科の大きな役割の一つです。

肩関節周囲炎と似た肩の痛み・運動制限を呈する病気がいくつかあります。

これらの病気は、レントゲン検査やMRI(magnetic resonance imaging; 核磁気共鳴画像法)検査によって判別可能です。MRI検査を受けることができる医療機関となれば、ある程度大きい規模の病院になるでしょうか。

例えば、石灰沈着性腱板炎は、レントゲン検査で鍵板周辺に石灰物の沈着が認められます。上腕骨骨頭壊死の進行した場合は、レントゲン検査で容易に診断できます。また、MRIは上腕骨骨頭壊死の早期診断、腱板損傷の確定診断に必要です。

肩関節周囲炎の痛みを取り除くためには、炎症を抑える薬を内服、または肩関節内の注射が有効です。血糖コントロールを悪化させる消炎鎮痛剤もありますから、糖尿病でインスリン治療を行っていることを申告します。

肩に痛みがある時期は本当に動かせないので、日常生活に支障がでますし、血糖コントロールが乱れます。痛みが少なくなった後は、リハビリテーションを行います。

長期間痛みにより動かさなかった肩関節は、関節拘縮という骨以外の組織が固まって関節の動きが悪くなっており、肩の機能を回復させるためにリハビリテーションが必要です。

リハビリテーションの期間は人それぞれですけれども、頑固な関節拘縮では半年から1年、またはそれ以上の期間を覚悟しなければなりません。手術による回復も選択肢のひとつになります。

筆者の肩関節周囲炎の症状と検査および治療

2008年8月に右肩の違和感を覚え、時間が経つに連れて酷くなり、激痛となってようやく2008年10月に整形外科を受診しました。

レントゲン検査とMRI検査を受けて、肩関節周囲炎と診断されました。

痛みが取れた後は肩関節にひどい拘縮が残り、運動機能回復のためリハビリテーションを2010年2月まで続けました。

症状

2008年8月、異変に気付きました。盆休みに帰省し、体が痛くてよく眠れなかったことからでした。

布団が変わったせいかな、と思いましたが、しだいに痛みが酷くなっていき、それは右肩を動かすと右上腕部に現れました。

動かさない限り痛みはそれほど感じません。9月頃までは湿布をして、普通に生活することができました。

10月に入ると、不意に肩を動かしたときには声を上げるほどの激痛を感じ、1分ほどで痛みは治まります。痛さの程度は痛風と同じくらいです。

激しい痛みを避けるために肩を極力動かさない生活はとても不自由で、マウス操作もできなくなり左手1本でパソコンを使っていました。

睡眠中に寝返りを打つと、激痛で何回も目が覚めます。寝ている状態では肩関節に圧力が加わって血行が悪くなり、痛みが増すようです。もはや睡眠障害です。

こうなると日中の何かしようとする意欲が大幅に削がれます。この時期は痛みの影響なのか、血糖値やHbA1cが高値になっていました。

検査および治療

2008年10月20日(初診)

整形外科を受診しました。

診察前、問診表に糖尿病であること、インスリンを使用していることを書きました。炎症を抑える薬には血糖値を上昇させるものもあるため、必ず申告した方がよいです。

この日の診療内容は、問診、肩の可動状況、痛みを感じる範囲の確認などでした。レントゲン検査では異常は見つからず、炎症を抑える薬剤を肩の関節内に注射しました。

2008年11月10日

肩の関節内に炎症を抑える薬剤を注射。次回診察時、原因を特定するためにMRI(核磁気共鳴画像法)検査を受けることにしました。

2008年11月20日

MRI検査を受けました。超強力な磁気を利用する検査のため、金属類が体内外にある人は受けることができない場合があります。

フレミングの左手の法則により、金属類が移動したり、電流が発生して熱を持ってしまいます。

筆者は、心臓ペースメーカーが埋め込まれていることもなく、刺青をしていることなく、メークなどするはずもなく、問題無く受けました。

ベッドに寝て上半身を軽く固定され、筒状の機器に入っていきます。検査中はとても大きい音がして、狭い所で身動きが取れないせいもあり、20分そこそこの検査時間でしたが、閉所恐怖症の人は我慢できないかもしれません。

検査結果は、腱の断裂などもなく全く正常ということで、消去法により肩関節周囲炎いわゆる五十肩と診断されました。

肩関節内に炎症を抑える薬剤を注射。3割負担で7,560円でした。

2008年11月26日

リハビリテーション開始。

痛みが取れた後は、関節が縮まり(拘縮)運動制限があるため、リハビリテーションにより運動機能を回復させることになりました。

筆者の場合は拘縮の程度が相当ひどいらしく「1年くらいのスパンで気長にやりましょう」と言われ、確かにまるで動かすことができません。

リハビリテーションの内容は、肩関節を動かさないでいたことによる筋力低下を回復させる運動および肩関節を外部から動かし広げることです。

以降週1回のリハビリテーションが続きます。

2008年12月4日

診察とリハビリテーション。肩が動く範囲内では、ほぼ痛みを感じなくなりました。

2008年12月11日

肩関節を外部からほぐしながら動かし、広げること行ないました。

2008年12月18日

月1回「リハビリテーション総合実施計画書」なるものを渡されます。筆者が行なっているような比較的超軽度のリハビリテーションにはあまり必要性を感じませんが、制度上仕方がないものです。

この計画書に係わる診療報酬は300点(3000円)、3割負担として900円です。

2008年12月25日

肩関節を外部からほぐしながら動かし、少しづつ広げること行ないました。開脚180度ができるように無理して広げる、というようなイメージです。

2009年1月8日

診察とリハビリテーション。血糖コントロールの状態を聞かれ「そちらが良くなってくれば、肩の状態も良くなっていくでしょう」と言われました。

少しずつですけれども可動範囲が大きくなっていることは、日常の動作からもわかります。手を後ろに回して左右の手の指同士触れることができるようになったり、側頭部の髪に触れるようになったり。今までいかに動かなかったか、しみじみ感じます。

2009年1月22日

インナーマッスルを動かす地味な運動を行ないました。

2009年1月29日

少しづつ動くようにはなってきているので、肩、肩甲骨周囲を動かす練習を行ないました。ゴムひもや柔らかいゴムボールを使った運動です。

2009年2月5日

診察とリハビリテーション。肩の可動範囲を診て貰いました。リハビリテーションでも状況がさほど変わらない場合は、内視鏡手術という方法もあると言われました。

2009年2月12,20,25日

肩関節をほぐしてもらい、ゴムバンドを使って軽い負荷をかけて筋力トレーニング。

2009年3月5日

肩関節をほぐしてもらい、ゴムバンドを使って筋力トレーニング。ある程度動くようになり、自宅でもトレーニングができるようにゴムバンドを購入。

小さく前倣えの状態で肘を体に付け、肘から先を外側に開く運動。腕を下ろし伸ばし手のひらを前にした状態で、横に開く運動。 腕を下ろし伸ばし手のひらを後ろにした状態で、横に開く運動。

2009年3月12,19,27日

肩関節を少しづつ開かせる。腕を下げて、肩甲骨を内側に寄せる運動。

2009年4月3日

肩関節は少しづつではあるが開くようになってきています。

2009年4月8,15日

リハビリテーションを始めて5ヶ月が経過しました。

前倣えの状態で体に対して90度(地面に平行)しか上がらなかったのが、120度程度まで上がるようになりました。日常生活で言えば、両手で洗髪ができるレベルです。

しかし、両腕を横方向に広げ、そのまま側頭部に腕を接するということが全くできません。

2009年4月24,30日、5月8日

運動機能低下を回復させるリハビリテーションの診療報酬算定上限日数は、150日と決まっています。2年前だったらこれで打ち切りとなり、患者としては非常に困ることになっていました。

2008年の診療報酬改定によると、治療を継続することにより状態の改善が期待できると医学的に判断される場合には算定上限日数が除外される、つまり継続してリハビリテーションを受けることができるようになりました。

4月24日の診察で、内視鏡手術もありうるほど強固な拘縮でも順調に回復しているということで、リハビリテーションを続けていくことになりました。

結局、リハビリテーションは2010年2月まで続けました。日常生活に支障が無いまでに回復し、この時点でリハビリテーションは終了することにしました。

実際は、きちんとラジオ体操をやったら肩関節が動かないことによる痛みで顔が歪む程度です。ゴルフやボーリング、ボールを投げるなどの動作はできません。